ワークショップで体験するゲーミフィケーション活用術(後編)

 さて、今回は前回の記事に引き続きまして、“ゲーミフィケーションを体験するワークショップ”の報告後編を書いていきます。前編でとても言いたい放題書いたせいか、多くの方に拡散・閲覧して頂けたようでとても嬉しく思います。

 

 誤解の無いように再度書いておきますが、ゲーミフィケーションに反対しているのではなく、人の欲望につけ込む手段としてゲームが隠れ蓑にされることを危惧しているということです。ギャンブル化とか、パチンコ化というよりは、ゲーム化の方が見えが良いことは言うまでもありません。

 

 それでは本題です。セミナー前半の理論編に関してはコチラをご覧ください。

第2部で清水さんの方から「ゲーミフィケーションを使ったマーケティングとその事例紹介」があり、「業界3位のコンビニチェーンをゲーミフィケーションでどう活性化するのか」というテーマで企画のワークショップが行われました。

その後第3部は、再び福山が「ゲーミフィケーションを使った企業教育」というテーマでお話をしました。

詳細はスライドを見て頂ければと思いますが、

「ゲームが持っているメカニズムを活用して、職場環境をデザインしたり、職場が抱える問題に対して、ゲームのメカニズムでアプローチを行う」

ことを今回のゲーミフィケーションによる企業教育と位置づけ、現代仕事が抱える問題の例(ex.仕事には明確な目標がほとんどない,適切なフィードバックがない,スキルが仕事に適合しない)をまず示しました。

 

事例紹介では、それらの問題へのアプローチとして、

 

1.イヤな仕事をファンタジーで楽しく=「Chore Wars

2.壮大な問題をみんなで解決する=「Super Struct

3.日常の仕事を“いいね!”する=オリエンタルランドの「ファイブスタープログラム」,オールアバウトの「“いいかも!”プログラム」

4.ゲームで学校をトータルコーディネート=「Quest to Learn

 

という5つの事例を紹介しそれぞれのどこがゲーミフィケーションされており、どんな効果が期待できるのかというお話をいたしました。(詳細はスライドやリンク先を!)

 

ワークショップは、「世代間のコミュニケーションに問題を抱えた職場をゲーミフィケーションで改善するのか」というテーマで行いました。5班に分かれて企画の立案をしてもらい、それぞれにとても面白い企画が立ち上がりました。

 

 1つだけ(勝手に)生まれたものを簡単にご紹介しますと、“ベテランクエスト”という企画では、若手社員に「ベテランのことを知る」というミッションが課されます。話をいろんな観点から聞いて、進捗度が100%になるとコンプリートでその社員の話を聞き終わったという証がもらえます。さらに課長をコンプリートしたら「課長マスター」など、組み合わせによる実績もあります。

 この企画の面白いなぁと思うところは、この活動によってコミュニケーションが起こるのはもちろんですが、若手とベテランの組み合わせを意図的に作成することで、ノウハウの共有も行えるというところです。例えば、”アイツは最近営業が上手くいってないから、トップセールスと会わせよう”とか”逆に一度伸び悩んだ経験のある人に会わせよう”などが考えられます。ゲームによってつながりを楽しくデザインするというのはとても面白い観点なのではないでしょうか。

 

 まとめです。今回は”私から見たゲーミフィケーション”を伝えたということももちろんあるでしょうが、単純に「ポイントを与える」とか、「実績を出す」だけというような企画ではなく、ストーリーを与えたり、複合的な要素を用いて”楽しく”して問題を解決しようというものが多く見られたことを嬉しく思いました。

 

 本セミナー(やこの記事)が、みなさまの商品や職場を楽しくする一助になったことを願います。わずか数十分で作られた企画のおもしろさを見ても、ゲーミフィケーションというのは適切に用いられれば、とても可能性のある分野だと思います。ぜひ、“クソゲーミフィケーション”ではなく“神ゲーミフィケーション”を作ってください。

 

 最後の〆の言葉を考えたのですが、前編に言いたいことは書いてしまったのでこの辺で(笑)

 

 以下、本セミナーの参考文献と3部のスライドです。

 参考文献は、マクゴニガルの「幸せな未来はゲームが作る」をお読み頂けると、私の話(特に事例)の大半はここから出てきているということが分かると思います。論文に関しては、もうちょっとお待ちください…。