オリジナルな教育ゲームを作るワークショップ開催報告
本日は、11月25日に東京大学で開催されました、
「オリジナルな教育ゲームを作るワークショップ」の開催報告です。
このワークショップは、
教育関係者ならびに、学校教育に関心のある学生の皆様に、
教育ゲームを作成している研究者が考えたフレームを利用して、
オリジナルな教育ゲームを開発して貰うというものでした。
このフレームを簡単に説明しますと、
1.学習目標をたてる
2.学習目標を「Can do」のような観察可能な行動目標に落とす
3.行動目標を達成するための活動をデザインする
4.活動をゲームのルールに落としていく
…というものです。
(詳細は今のところ秘密にしておきます/笑)
はじめに参加者に尋ねたところ多くの方は、
「いくつかのデジタルゲーム、トランプ、UNOなどの定番ゲームの経験のみ」、
という方がほとんどでしたが、
最終的には、全グループがゲームのプロトタイプを作成することができました。
(本WSの裏テーマは脱○○スゴロク/○○クイズでしたので、この点でも成功でした。)
1つ私がサポートしたゲームを紹介すると、
【英語】を題材にして、
「自分の場所を電話で相手に伝えられる/地図を見てその人を案内できる」
ということを学習目標にしたゲームなどが開発されました。
この英語のゲームでは、ある「道に迷った人」が地図上のどこかに存在し、
その人に「案内する人たち」が「なにが見えますか?」と尋ねることで、
場所を特定するというものです。
簡単なルールとしては、
1.「似たような建物」がある地図の中から「迷っている人」は自分がどこにいるのかを決めます。
2.「案内する人」は「なにが見えますか?」と質問をします
3.「迷っている人」は自分のいる周囲にある建物を「1つ」答えます
4.「案内する人」は相談をして、「迷っている人」をいずれかの方角に1ブロック移動させます
5.1~4をくり返して一定回数以内に「迷っている人の位置」を特定できれば、
「案内する人」の勝ち、特定できなければ「迷っている人」の勝ちになります。
※もちろんゲーム中は英語しか使えません
またゲーム中、何回かだけ「Yes/No」カードを使うことで、
「○○が見えますか?」と聞くことができます
このゲームの面白いポイントは、
「迷っている人はできるだけ場所が分からないようにする」ということです。
このゲームははじめの段階では、「協力して目的地にたどり着く」というゲームだったのですが、
それでは「簡単すぎる」ということで、試行錯誤の結果、
「スコットランドヤード」というゲームを参考に、
「一方には居る場所が分からない」「場所をあてる」というルールを導入しました。
このルールを導入した結果、ゲームに「推理」の要素が加わり、より盛り上がる展開になりました。
学習としても、「この人はどこにいるのか」ということを、
英語で他者と相談するというフェーズが加わり、
学習目標に関連した発話が起こることが想定されます。
上記の様に、参加者はフレームに従って、
「"学習目標"と"それを達成するための活動"からゲームをデザインする」
という経験をすることができていました。
まだまだ改善点はあるWSでしたが、結果としては成功だったのではないでしょうか。
また、これは事前にも想定していたことなのですが、
やはり「活用できそうな他のゲームを知っているか」ということは、
「活動をゲームのルールに落とす」際の難易度やクオリティに非常に大きく影響します。
今回は私達がここを意識的にサポートしましたが、
完全に自力で作成する際にはネックになりそうです。
参加者の方に「こういうゲームはどこにいけば沢山体験できますか?」
という質問も頂きましたので、
いつか「アナログゲームで遊んで、活用可能性について議論する会」もやりたいと思います。
それでは。
※本WSはGALAT(NPO法人Educe technologies)と、
ゲーミング勉強会の主催で開催されました。