非日常にゆきてかえること

ここ数年、非日常系の学びが流行っているように思えます。
(私も体験型ゲームという非日常で何が学べるか…というワークショップを来月開催します。
詳しくはコチラ。)

 

不思議なる 国をさまよい
長き日を  夢見て暮らす
つかのまの 夏は果てるまで
金色の   夕映えのなか
どこまでも たゆたいゆかん
人の世は  夢にあらずや

(「鏡の国のアリス」より 脇明子訳)

 

アリスは不思議の国と(しばらく後に)鏡の国を旅して、最後には帰って来ます。

最後の詩を引用したのは私が好きだからで深い意味はありません(笑)

このように、主人公が世界を非日常の世界を冒険して、何かを達成して帰ってくる、
というのは物語のストーリーの王道ですね。

年始に映画「ホビット」を見たのですが、
原作のタイトルは「ホビット-ゆきてかえりし物語」です。

 

リンク:新版 ホビット: ゆきてかえりし物語

 

このタイトルを見て非日常には「行って帰ってくる事って大事だよね」という、

アタリマエのことを、ふと思ったので今日はこの話でも。

ホビットでは主人公のビルボ・バギンズが、

Bag End(袋小路屋敷)というところでのんびり暮らしていたところ、
魔法使いガンダルフに旅につれて行かれ、色々ありつつも、

最後には屋敷に帰ってきて終わります。
(バギンズって、住んでる場所の名前に関係があったのかと、

これを書くために知りました/笑)

映画の中で面白かったのは、つれて行くガンダルフは、「無事に戻れるか?」と聞くビルボに、
「約束はできないし、戻れても元のままではいられない」というんですね。
ビルボは無事に帰ってきますが、やはり「元のままではいられず」に、
ホビット庄(シャイア)では変わり者扱いになります。
某先生の言い回しを借りれば、文字通り「川を渡っちゃったヤツ」です(笑)
とはいえ、ホビットで唯一世界を見て帰って来たビルボは、貴重な存在であったでしょう。
このように「非日常の世界」では、元の自分を変えるくらいの出来事が体験できることもあります。

ここで、私がなんとなく考えたことは、
現実世界においても、「非日常で特殊な経験をしても帰ってこなきゃダメだよね」という話です。

ファンタジーメタファーで語るなら、そこには、
・面白い登場人物(参加者・講師)がいて
・心躍らせるような冒険(活動)があり
・見たことも無い宝物(成果)
があるかもしれません。

でも、のめり込みすぎてしまって、
・「俺の事は気にせず先に行け状態」(行ったきりそこで討ち死系)や
・「冒険者のころはよかったおじいさん」(日常では非日常を懐かしむだけ系)
になっても困りますし、

また、

・「夏休みが終わったらいつもの、のび太くん」

(非日常(映画版)では強いけど、学校始まると元通り系)

でも困ります。

冒険をして、成長をして、宝物を手に入れるけど、立派に帰ってくる。
返って来た自分は、かつての自分ではないけれども、

それでもホビット庄(日常)でもちゃんと暮らせる。
ビルボ・バギンズの物語は良い「非日常系の学び」良いメタファーになるのかもしれません。

 

まとまりがありませんが、とりあえずこの辺で…。