ゲームを用いたイベントを作る際に陥りがちなこと

一時期、あまり問い合わせがこない時期があり、
なんとなく、一人寂しく思っていたのですが、
夏頃から、またありがたいことに立て続けに2つの団体から、
ゲームについてコメントをお願いされました。

この2件に限ったことではないのですが、

問い合わせを頂く際は「ゲームの企画にコメントが欲しい」ということが多いですが、
実際、お会いしてお話をすると初回のお話では、

なかなか「ゲームそのものの話」に行き着くことは珍しいです。
このあたり、ゲームを活用しようとされる皆様に参考になるかなと思いましたので、
一度、ブログに書いてしまおうかなと思います。

先日掲載された、MY POLICY LABのインタビューにも類似の内容がありますので、
よろしければ、そちらもご覧ください。

 

【後編】「ゲームで政治を考えよう!ワークショップ」開催レポート

~若きゲーム教育研究者に聞く「ゲーム×政治」の未来~

http://blog.livedoor.jp/mypolicylab/archives/29629039.html

私は「教育用」の「アナログゲーム」を作るのが専門ですので、
その他の領域の方から見ると「何言ってるんだ」と感じられることもあるかと思いますが、
あくまでも「なんらかの教育的な要素を持ったイベントに(アナログ)ゲーム使う場合」…

ということでご理解ください。
また、下記に書くのは、これまで10件以上のお話を伺った感触から導いた

一般的に陥りやすいことであり、特定の案件の改善点ではありません。
先日、開催した「オリジナルな教育ゲームを作るワークショップ」のフレームと

似たところもありますので、こちらも併せてご参照ください。

1.何のためにゲームを使うのかが明確でない

これがほとんど全てなのかなとも思うのですが、

多くの場合、「最近ゲームが流行っているらしい」から、もしくは、

「ゲームにして楽しくすれば多くの方に興味を持ってもらえる」から、
という出発点で、イベントへのゲームの使用を決められることが多いのかなと思います。
これは間違いではないですし、この出発点自体には何の問題も無いのですが、
ここから、「イベントの目的とゲーム」をブリッジする議論ができないと問題になるのかなと思います。

当たり前のことですが、ゲームの中身について議論する前に、まずイベントの趣旨を明確にしておく…というのが重要です。

その結果、ゲームが向いていない内容であるのであれば、素直に他の方法を探した方がよいと思います。

 

2.「ゲーム前後」の参加者の姿を想像できていない

これも全てのイベントに共通なことだと思うのですが、

なぜかゲームになると見過ごされがちな観点です。
「想定される参加者」に「どのようになって帰って欲しい」のかを明確にしておかなければ、
どんなゲーム構造にするのかを考えることは困難です。
ここまで決まってはじめて、「じゃあ、ゲームで何を体験させようか、どんなルールにしようか」という話が始まります。
私のゲームの場合であれば、「環境問題に多少は興味のある参加者」に「環境問題の持つジレンマを体験して貰い」、「自分の協力が重要であるという意識を獲得して帰って貰う」

というのがここまでの流れになると思います。

毎回言っていることですが、私が考えるにゲームというのも「体験」の1つの形式に過ぎません。ゴールに至るための活動としてゲーム構造を考えるのが正解に近いと思います。


これ以降は、

3.ゲームのバリエーションをしらない
4.テストプレイが足りていない
5.ゲームで全て完結しようとしている(振り返りのデザインが甘い)

と続いていくのかなと思いますが、
今日は、ゲームの内容に入るまでに問題になりがちなことという話でしたので、
この辺にしておこうかなと思います。

まとめると、

ゲームにすると何でもよくなるわけではないので、
普通の体験型のイベントと一緒で、「どんな参加者に何を体験させてどうなって欲しいのか」を明確にし、
「どんなゲームを作るのか」というのを後から考えるべきことである、ということでしょうか。

何かの参考になれば幸いです。